親しみやすいデザインで「認知症」を知ってほしい

認知症という言葉はよく聞きますが、実際どのようなことなのか、正しい周知はまだまだ足りていないかと思います。
私自身も、ボンヤリとした知識しかありませんでした。
認知症とは、年を重ねると起きてしまう自然現象として捉えられることも少なくありませんが、
「成人になってから起こる知能障害」という病気のひとつです。

今回、この認知症をテーマにした一冊をお手伝いさせていただきました。
『認知症になるとなぜ「不可解な行動」をとるのか』 (加藤伸司著、河出書房新社)表紙
認知症になるとなぜ「不可解な行動」をとるのか
加藤伸司著、河出書房新社

「こうしたらいい」というマニュアル的なものではなく、
認知症のしくみを知り、「なぜこんな行動をしてしまうのか?」という、
認知症においての行動の心理と動機を理解して、その対応と対処を考えるという一冊です。
「長続きする介護は手抜きケア」と題する20ページ余りの付章を加えた増補新版となっての再登場です。
「どうしてこんなことをしてしまうのか」
ちゃんとその理由を知っていれば、いざそんな状況に直面しても落ち着いて対処できますね。
パートナーや親の認知症の悩みはセキュリティの問題などもあり、オープンに相談するのは不安だったりもしますが、一通りの知識を順序立てて読んでおけば、気持ちが楽になったり、具体的な対応策の参考になるかと思います。

たとえば、ケース2の「何をしたか覚えていない」というケース。
『認知症になるとなぜ「不可解な行動」をとるのか』 (加藤伸司著、河出書房新社)本文
認知症においては、何十年も昔のことを覚えているが、ごく最近の出来事を忘れてしまうケースも多いそうです。
これは健常者においても、ちょっとしたこと「ド忘れ」してしまうことに似ているようです。
自分にも覚えがあるので、なるほど、と身近に感じることが出来ます。

ウエイドでは表紙、帯の装丁を担当させていただきました。
とても重要な内容だからこそ、読者が手に取りやすいデザインを心がけました。
医学書のように堅い印象にならないよう、やわらかなイメージの書体を使い、
「認知症」という、すこし身構えてしまう内容に親しみを持ってもらいたい、という思いを込めました。

認知症の方に関わらず、自分がこうだから、大多数の人がこうだから、と決めつけず、
その人個人と向き合っていくのが大事なのだと、理解を深めることが出来る一冊です。

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