ひと目ひと目、丁寧に。『下田直子の手芸術』をお手伝いしました

刺繍や手芸を趣味だったりお仕事にされている方なら、
手芸作家の下田直子先生のお名前をご存じの方も多いのではないでしょうか?

長年、手芸作家として活躍し続けている下田直子先生。
2014年、京都を皮切りに初の回顧展『下田直子 ハンドクラフト展』が開催され、大盛況の波を受け、2016年には三越本店や博多阪急でも同展が開催されました。
下田先生が創作してきた中から厳選された展示は非常に多種多様で、どれも美しく愛らしく、広く深い知識と創造性が両立した作品の質と量に圧倒されるものでした。

そんな下田先生が、培われてきた技法や道具などを、思い出とともに語った一冊が発行されました。
こちらは本としての集大成と言えるのではないでしょうか。

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下田直子の手芸術』(筑摩書房
手芸術というタイトルですが、単に編み方や技法が載っているわけではありません。
下田先生が作業時に気をつけている点や、ちょっとしたコツやヒントが先生自身の文章とともに綴られています。
日々の生活の中でみたもの、感じたことを作品に活かしているそうです。

紹介している作品の作り方はポイントのみ押さえた書き方になっているので、難易度は中・上級者向けです。まるで先生のアトリエやニットカフェで、手を動かしたりお茶をいただきながら、お話を聞いているような気分になれる本です。

中には手芸用品ではない意外な道具を使った方法も載っており、「そんな使い方や工夫があったのか!」と気づかされます。

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載っている作品をそのまま作るための本というより、作品や言葉に凝縮されたエッセンスを読み取って、自分の作品にその考え方や技法を応用するためのアイデアやヒントが詰まっているように思います。

ウエイドでは、編み図・刺しゅう図案のトレースや作り方図の作成をお手伝いさせていただきました。
バリエーションに富んだ様々な技法があるため、それぞれにあった表現方法を編集の方と相談しながら、作図を進めました。

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刺しゅう図案の中には、あえて手描きのタッチを活かし、あえてそのまま掲載しているものもあります。
やさしくあたたかみのある図案は、実際につくらずとも眺めているだけでとてもほっこりしますよ。

昨年秋にはアトリエの風景や、テキスタイル素材などの写真をまとめた写真集も発行されています。

作品だけでなく、きっと先生ご自身の考えや生き方が人を惹きつけているんですね。
好きだから仕事として続けてこれた、という下田先生のお言葉には胸を打たれました。

「見える範囲に材料や使うものを置いておきたい」というのもすごくわかります。

私の場合は気づくと周りが物だらけになってしまっていますが…。

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