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地味でおなじみの【応仁の乱】を華やかにデザイン!

日本史業界では、今【応仁の乱】ブームが来ているのはご存知ですか?
中公新書の『応仁の乱』が8月現在40万部突破の異例のヒットを記録していて、著者の呉座勇一さんはNHK「英雄たちの選択スペシャル」に登場するなど大活躍中。
これをきっかけに応仁の乱に関する書籍やムックが続々と発売されています。

この波は、歴史書籍のデザインや図版作成を多く手がけているウエイドにも当然やってきました。

それがこちら『応仁の乱 下剋上への道英和ムック)』でございます。
かみゆ歴史編集部様よりご依頼頂きました。

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そもそも【応仁の乱】とは?
「教科書で名前は習ったけれど中身はよくわからない…。」という感想がほとんどだと思います。
「戦国時代前夜」という位置づけですが、特に有名武将が登場する訳でもなくダラダラと約11年も続いた内乱なので、印象が薄いのも仕方ないかもしれませんね。

この度のブームもこの「スター不在」「だらだら続く」という印象の薄さを、逆手にとって火がついた経緯があるようです。弱点を、逆転の発想で魅力に変える、広告の力って偉大ですね。

しかし、この「印象の薄さ」は紙面制作の面では厄介です。群雄割拠の戦国時代に比べて、肖像画が残っている武将は少なく、主要な史跡もほとんど残っていないので、ページを演出するデザイン要素としての絵や写真が足りず、普通に作ると乱と同じく地味〜になってしまうのです。

この点を補うべく、ウエイドのデザインチームも知恵を絞りました。紙面のデザインでは各章ごとに変化をつけたり、背景の素材や装飾に工夫を凝らす等して、バラエティー豊かな仕上がりになっております。

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また登場するマイナー武将達の裏切りに次ぐ裏切り、あまつさえ家族親戚の間柄でも争う始末なので、相関図や勢力分布図も非常に複雑です。
どうやっても混み合ってしまう図版を、いかに見やすく美しくまとめるか。それが図版チームの腕の見せ所でした。

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歴史物を多く手がけるウエイドでも【応仁の乱】を扱う機会は少なく、各自勉強しながらの作業でしたが、ページによっては原稿や資料をしっかり読み込んで、既存の類書には無かった工夫を加えた分かりやすい図を提案できたと自負しています。
装丁から本文デザイン、DTPに図版、平面・3D地図制作まで、一冊まるっと制作しておりますので、ぜひ実際に書籍を手にとって見て頂ければと思います。

まんがとブックデザインで歴史の勉強が楽しくなる!

私が小学生の時、学校の図書室に歴史上の偉人の伝記まんががあって、休み時間によく読んでいました。
もう大分昔の事で内容はほとんど忘れてしまいましたが、豊臣秀吉がすごい速さで城の石垣を作った逸話は覚えています。
まんがによると、石垣の区画ごとに作業員をチーム分けして、一番早いチームに褒美を出してモチベーションを上げたのだとか。
あと個人的にはヤマトタケルと平賀源内のまんがも好きでした。

こういった学習まんがが子供に与える影響ってすごい大きいと思います。

さて、偉人の伝記まんがですが、株式会社KADOKAWA様から新シリーズが続々と出ています。
それが『角川まんが学習シリーズ まんが人物伝』です。

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第一弾は織田信長、徳川家康、真田幸村の三人。
カバーイラストはゲーム・アニメで活躍する有名なイラストレーターの方が担当し、まんがも今風な絵柄になっています。

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ウエイドでは、徳川家康、真田幸村の解説ページデザインを制作いたしました。
その中でも、今回特に力を注いだのが「戦国新聞」のコーナー。

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本全体の基本フォーマットは決まっているのですが、「戦国新聞」だけは実際の新聞記事のように記事の内容に応じてデザインを変えたほうが興味をひきやすいので、各ページでアレンジを加えています。
子供の読者向けなので、わかりやすく、楽しく読んでもらえるように、ちょっとコミカルな雰囲気に仕上げました。

ちなみに・・・。織田信長のまんがを描いたのが私の大学時代の知り合いだったんです。
正直大変驚きました。案外世界は狭いなあ・・・。

3D地形図サンプル:愛知県豊橋市街・吉田城趾

現在ウエイドで力を入れている、3D地形図のサンプルを作成してみました。
担当者の地元、愛知県豊橋市街の高低差を色分け強調してあります。

愛知県豊橋市街・吉田城趾の3D地形図
カシミール3Dにて作成、Adobe Illustratorにて調整

低→中→高
緑→黄→赤
となっていますが、範囲内に山らしい山はない非常に平坦な地形です。
色分けしてみると、東海道(≒国道1号)が豊川と交差する交通の要衝に位置する吉田城が、平地ながらも少しでも守りやすく、洪水にも強い台地の範囲で、豊川に最も接近する位置を選んで建てられた様子が判ります。
堀や石垣の跡らしき凹凸も、この色分けだと感じ取れるのではないでしょうか。

作成してみて気が付いたのは、牟呂用水が高い位置を流れていること。
駅前の水上ビルは川沿いに建てられていると思っていたのですが、台地上を流れていて、川ではなく人工の水路だと見て取れます。
「牟呂用水」という名前からも明らかなのですが、地理に疎い私は漠然と川だと思っておりました。

このように、3D地形図を細かく色分けしてみると、平野部の地形にも様々な歴史の痕跡が浮かび上がってきます。

3D地形図を使った本作りや記事作りをお考えの方、お気軽にご相談ください!

現代人も避けて通れぬ「宗教」の基礎知識本をデザインしました

「宗教本」と聞くと、とても難解で敷居が高そうなイメージがあります。

とはいえ、私が今までの人生で唯一読破した宗教本『ブッダ』(手塚治虫 著)のように、たとえ難しい内容でもマンガなら読めた、という体験をしたことがある方も多いのではないでしょうか?

そこで今回紹介するのは、『マンガでわかる 現代を読み解く 宗教入門』(新星出版社様 発行)

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キリスト教、イスラム教、ユダヤ教…宗教はそれぞれの文化や社会構造とは切っても切れない関係にあり、事情を知らないと海外のニュースが理解できないこともしばしば。

本書では現代のビジネスパーソンが知っておきたい宗教の知識を、厳選した11のエピソードに凝縮。
マンガページと文章ページで交互に解説する構成となっています。

今回ウエイドでは、本文のデザインを担当いたしました。

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子供向けのコミック本とは一線を画すべく、シンプルでスタイリッシュに。
通勤電車の中で読んでも恥ずかしくないデザインに仕上がりました。

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各エピソードごとにマンガで基礎知識を紹介、そして後に続くテキストページでは重要な専門用語もしっかり解説。
内容も充実した「大人のビジネス書」となっております。

日本では初詣に神社に行き、お寺で墓参りをし、結婚式を教会のチャペルで挙げる…など、様々な宗教行事を当たり前のように受け入れていますが、なぜそのような文化が形成されたのかも本書で紹介されています。

これから暖かい季節、御朱印ボーイ/ガールとなって寺社仏閣巡りをするには絶好の時期です。
海外からの旅行者も増え続けている昨今、日本と世界の宗教の違いを知っていれば、異文化コミュニケーションにも自信をもって臨めそうです。

みなさんも、主な宗教の成り立ちと、現代社会への影響に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

歴史散歩に行きたくなる!ウエイドのブックデザインと地図

さっそくですが今回の業務実績紹介は、
洋泉社様より発売中の『地図と地形で楽しむ 横浜歴史散歩』です。

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江戸末期までは誰も知らない「寒村」だった横浜が、
なぜ、開港から150年余で370万人以上が暮らす「日本No.2」の巨大都市になれたのか?
他に横浜に残る地名の由来や、中華街はなぜ海岸線に対してナナメなのか?
など、“知っているようで知らない”ナゾを地図地形から読み解きます。
埋め立て地で平らな印象の横浜にも、実は地形にまつわる秘密があって新鮮でした。

……そうです。またまた“地形”でございます。

当ブログを熱心に読んでくださっている方でしたらご存知の事と思いますが、ウエイドの手がけた地形歴史本の実績、かなり充実してます!

本当に流行ってますよね。
もはや「地形歴史本」はひとつのジャンルになったのやも?

☆森田一義 森田一義アワー バンザーイ☆ でございます。

ウエイドでは装丁から本文デザインに地図イラストまで、まるっと一冊担当しております。
得意の地図制作に関しては、当初依頼のあった地図のフォーマットは数パターンだったのですが、「もっと分かりやすい的確な表現方法があるのでは?」ということで、こちらから目的別に様々な種類の地図フォーマットを提案させて頂きました。

同じ横浜の地図や地形を説明するのに、これだけの種類の表現方法があるのかと見比べて頂けると嬉しいかぎりです。
(欲を申せば、もっとたくさん地図を描きたかったです… ʘ言ʘ)

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さらに、実は本書のシリーズ化計画が進行中だとか…?
横浜に続いて、自分の住んでいる街に隠された身近な歴史ロマンをひも解とけるようになるかも…と今から楽しみです!
(あぁ、そしてもっと地図が描ける… ´∀`〃)

あと、本の中では参考資料的な要素かも知れませんが、日本画を勉強している僕個人的には、時々出てくる当時の横浜の風景を描いた浮世絵も見所でした。

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この頃の浮世絵は、幕末・明治期ですから西洋の画法なんかも少しずつ入ってきている時期で、構図や場面演出も新しくて見応えありますし、もちろん日本人気質で細かい所まで描き込んでいるので、当時の町並みや人の仕草を眺めるのも楽しいですよね。

話がそれました。

我々ウエイドも横浜開港当時の絵師のように、現地の雰囲気が伝わるブックデザインや地図制作によって、皆さんが実際に現地に行ってみたくなるような書籍を作っていきたいと思います。
「こんな本を作りたい!」というアイデアのある方は、まずご相談からでもお声がけ頂けると幸いです。

繊細な3Dマップで、人気の「お城本」の読み応えをアップ!

熊本地震の影響で立入り制限が続く熊本城の行幸坂(みゆきざか)ですが、お花見の季節に合わせて3月25・26日と4月1・2日に規制を一部解除したそうです。
いかれた方いらっしゃいますか?

熊本城の崩れかかった姿はなんとも痛々しいですが、その他のお城でも完全とはいかなくとも震災や戦火を乗り越えてまだ姿を残しているのって凄いですよねぇ。
当時の大工さん達のキッチリしたお仕事のたまものです。

せっかく桜の季節ですし、お花見にかこつけてちょっと遠くのお城まで足を伸ばして、匠の技巧にうなってみるのも面白いかもしれません。
という訳で、今回はお城巡りのガイドブックにおすすめな本を、ドドドドンと4冊イッキにご紹介します。

まずはこちら、装丁と本文デザインに図版、DTPまで一冊丸ごと関わっております『よくわかる日本の城 日本城郭検定公式参考書』(学研プラス
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それから、
別冊歴史REAL「山城歩き」徹底ガイド』(洋泉社
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別冊歴史REAL「名城歩き」徹底ガイド』(洋泉社
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戦国の名城』(スタンダーズ株式会社
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の3冊では、それぞれレイアウト、地図を中心とした図版、DTPなどで制作に携わっています。
いずれも、ウエイドと歴史関係のお仕事で長いお付き合いのある、かみゆ歴史編集部さんからご依頼頂きました。(→過去の業務実績

4冊ともお城をあつかった本ですが、違った個性の本が完成しました。
見比べてみても面白いはず。

まとめて眺めていると気がつくのが、「地形という観点から歴史を眺めるというのがブームになっている」と言う事ですね。
タモリさんの影響でしょうか?

この波に乗って… という訳ではないのですが、歴史書籍を多く手がけるウエイドでも地形の分かる3Dマップ制作の研究が進んでいます。

TV番組でもよく見かける<Google Earth>と、地形ソフトとして定評のある<カシミール3D>など、複数のアプリケーションを組み合わせて使用しています。
いずれもフリーソフトなので、使った事があると言う方もいるかも知れませんね。

簡単に立体的な地形図が作成できて面白いのですが、出版物に掲載となると、美しく、誰が見ても判りやすいようしっかり調整されている必要があります。
そのため、ウエイドではただソフトを起動してデフォルト設定で地図画像を書き出すという事はほとんどしません。(もちろんご予算次第ですが… *⌒―⌒*)

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紹介する地形に合わせて、3D地形マップの標高エフェクトや色設定を繊細に検討したり、PhotoshopやIllustratorでアプリの機能を補って、地形をより魅力的に判りやすく見せるよう、日々研究工夫を続けています。

お城を建てる大工さんと一緒です。
どんな道具でも使う人の技術や心の込め方次第で仕上がりは大きく違ってくるのですね。
ぜひ他の本と見比べてみてください。

こんな風に、皆さんの「こんな感じの本作れないかな?」といった漠然としたアイデアにも、今まで培ってきた歴史関係のデザイン経験や地図製作のノウハウ等を活かして、色々な実現方法をご提案できます。

よりよい本を一緒に作っていけたらと思っておりますので、まずは雑談からでも、お気軽にウエイドへお声かけを!

大河のお供に!一冊でわかる 井伊直虎本デザインしました

2017年の大河ドラマ『おんな城主 直虎』が始まりましたね。
(つい先日『真田丸』の最終回だったような気もしますが…)
前回の『真田丸』では言わずと知れた有名人、あの真田幸村が主人公だったのに対し、今回は一地方のマイナー(失礼)な女性が主人公ということで、この先どういうストーリーになるのかちょっと予想がつきません。

「女性で大名」という事で一躍注目を浴びている直虎ですが、実は戦国時代、当主の急死などで家を取り仕切ることになった、「女性大名」と言える人たちは直虎の他にもいたそうです。
今回のドラマをきっかけに、他のおんな城主にもスポットが当るかもしれませんね。

そうそう、主演女優は柴咲コウさんですが、最近では珍しく幼少期を子役が演じるということでちょっと話題になりました。
(『真田丸』は初めから堺雅人さんだったのに!)

さて、歴史好きな社長の元、ウエイドではこれまで大河ドラマのガイド本を何度も手がけてきましたが、やはり今回も作りましたよ!
洋泉社様から刊行の『歴史REAL 一冊でわかる大河ドラマ・ヒロインのすべて 井伊直虎』です。

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こちらの本では井伊家ゆかりの地を尋ねる旅行ガイドページをデザインしています。
以前から旅行ガイド本の制作に携わる機会が多いので、こちらも得意分野なんです。

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女性主人公のドラマですので、「いつもと違った可愛らしいイメージにしたい」とのことでウエイドにお声がかかりました。
他にも「ちょっと今回はデザインのイメージを変えたいわぁ」なんてお思いでしたら、是非ウエイドまでご相談ください。

あと人物相関図も写真付きで入っているので、テレビのそばに常備しておくのが吉!

余談ですが…。
物語前半の敵役として井伊家を支配する大名今川義元が出てきます。

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白粉、置き眉の公家風装束ながら一言も発さず裏切り者を処刑するラスボス然とした風格ですが、演じるのはあの笑点の司会春風亭昇太さん。
そのシーンを見て以来、笑点を見るたびに今川義元が頭に浮かんできて困っています。

「山田くん、井伊さんの領地全部とっちゃって」(笑)