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法王庁の抜け穴

今回ご紹介する本は光文社さま発刊の『法王庁の抜け穴』(著者:ジッド、訳者:三ツ堀広一郎)です。

フランスの小説家のジッドが19世紀末のローマを舞台に幽閉されたローマ法王を巡って起きた事件について書いた古典小説です。

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イラストレーターの原田が地図の図版を制作しました。

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原田がこだわった点は昔の地図は現在と違って測量が曖昧なので、昔と現在の地図を比較しながら距離、道の歪みなどを調整したところです。
地図があることで当時の雰囲気が味わえて、より興味も増しますよね。

地図が必要な小説本にはウエイドがこだわりの地図でお応えしますので、どうぞご相談ください!

現代書林さま3部作 一挙ご紹介!!

最近また『白い巨塔』のTVドラマがやっていましたね。
主演はV6の岡田君で、役者の肩書きがすっかり板についた感じです。
私の中では財前五郎というと唐沢寿明のイメージですが…。

さて、ここ最近ウエイドでは現代書林さまから出版されている、医療関係の本を連続で3冊手掛けましたのでそのご紹介です。

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まず1冊目は『ストレス・心の悩みがスーッと軽くなるセルフケア』です。

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この本ではストレッチの方法を説明するイラストなどを描きました。
女性向けの本ですので、清潔感があってちょっとおしゃれな印象に、かつ動きを説明するイラストなのでシンプルで見やすく仕上げました。

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2冊目は『読みやすい、分かりやすい 脳梗塞35の重要ポイント』です。

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こちらでは心臓や血管などのイラストを病気の症状ごとに描いています。
本文が2色印刷ですので、説明したいテーマごとにどのような配色と表現にすればわかりやすいか気をつけながら描きました。

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最後にご紹介するのが『若葉香る−寛解のとき・バセドウ病といわれた日から』で、「医療小説」ですが作中で病気のことを説明する図が挿入されるのが特徴です。

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ウエイドはこの図と解説キャラ・ドクター甲之介のイラストを描きました。

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特にドクター甲之介のイラストはコンペで勝ち残って採用された力作です。
あとエコー検査の画像のイラストも描きました。
こちらは写真と見紛うばかりの完成度で、イラストレーター自慢の一作となっております。

ところで『白い巨塔』に続いて『不毛地帯』でも唐沢寿明が主人公を演じましたが、しばらくしたら、こちらも岡田君主演でやるんでしょうか?

個人的には気になっております。

ウエイド謹製 地図イラストの入った書籍を2冊同時紹介

絵入りの地図と言うものが昔から好きでした。

ギザの地名の横にはピラミッドとスフィンクスが描かれ、中国北部をデフォルメされた万里の長城が横切り、大海原ではクラーケンが帆船を襲っているようなやつです。

最近ウエイドではこの手の絵入り地図を二点制作致しました。
一つはこちらの『JIYUGAOKA OFFICIAL GUIDE 2018-2019 vol.29』です。

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こちらは自由が丘の商店街の方々が発行しているガイドブックで、自由が丘にあるオシャレなお店、行事、町の歴史が紹介されています。

ウエイドが制作したのはこのガイドの冒頭にある絵入り地図です。

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鉛筆で描いた地図をフォトショップで色つけしてポップな感じに。
さらに周りには人物のイラストを配置しました。なんだか自由が丘らしい素敵な雰囲気でしょ?(私はまだ行ったことないけど)

また、自由が丘駅構内の見取り図も描きました。

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二つの路線が上下に交差しているんですね。
駅構内の立体的な構造を、如何にシンプルかつ分かりやすくまとめるか?というところに注力しました。

そして二つ目がこちら。
光文社様の大人気シリーズ、古典新訳文庫の『ボートの三人男 もちろん犬も』です。

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こちらは息の詰まる現代社会に生きる3人の男と犬一匹が、ボートに乗ってテムズ河をひたすら遡る旅に出る。というお話のユーモア小説。

こちらも巻頭にある地図を制作しました。

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イギリスの地名は日本人にとって馴染みのないものばかり。
なるべく詳細に紹介しつつ、しかし文字の配置は見やすいよう工夫しました。
そしてこの地図も周りにイラストをちりばめてあります。
特にこのワンちゃんの絵は大変可愛いと編集の方にも大変好評でございました。

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それはそうと「息の詰まる現代社会」といいつつ原書の出版は19世紀末。
登場人物たちは、日本の首都をトーキョーではなくエドと呼びます。

ご近所から架空の島まで、地図製作はウエイドにおまかせ!

昔から「架空の地図」というものが好きでした。
ファンタジー小説の巻頭や、ゲームの攻略本なんかについてくるやつですね。
全く未知の世界に広がる架空の国や街、それを結ぶ航路や街道・・・。
それらは地図の上ではほんの小さな点や線であっても、読者の心を想像の世界へと駆り立ててくれます。

私はそういった地図だと実測的なものが好きで、特に『ゲド戦記』の「多島海」の地図はマイフェイバリット架空地図です。
他に『氷と炎の歌』や『守り人』シリーズもお気に入り。

実は先日、架空の地図を描く仕事をしたのです。
それがこちら、光文社さんから刊行のハニヤ・ヤナギハラ著、山田美明訳『森の人々』です。

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1950年、ミクロネシアの孤島〈イヴ・イヴ島〉に調査団が上陸する。
その中の免疫学者ペリーナは、島の住人たちと彼らが食すカメについて調査するうち驚くべき発見をする・・・。

というのがおおよそのストーリー。
無論この話はフィクションで、島も実在しません。
しかしこの小説がユニークなのは、徹底的にノンフィクションの体裁をとっていること。

本書は主人公の学者の自伝という形を取っていますが、本の冒頭には新聞記事(架空)が引用され、自伝の編集者(これも架空)の手によって序文と脚注まで挿入されます。
何も知らずに手渡されたら、本当にあったことだと勘違いしてしまうかもしれません。

ミクロネシアにある架空の島、そこに棲む生物の生態に迫るノンフィクション仕立ての本というと、シュトゥンプケの『鼻行類』を連想しますね。
ほかにも登場人物の一人の名前がラヴクラフトの小説から引用(多分)されていて、『インスマウスの影』にも南洋に暮らす先住民が・・・。おっと話が逸れました。

今回ウエイドはこの物語の舞台となる〈ウ・イヴ諸島〉の地図を制作いたしました。
さて、この小説の重要な要素がノンフィクションかのようなつくり。
島を取り巻く海岸線や、広がる尾根などはなるべく細かく、真に迫った感じにリアリティを大切に仕上げました。

原書の方はペンとインクで描かれていますが、今回の日本語版ではデジタルで制作し、よりノンフィクション感が強まっていると思います。

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というわけで、私もこの『森の人々』を楽しく読み進めているところです。
自伝仕立ての進行なのでまだ主人公の幼少期なのですが、冒頭で彼が解き明かしたイヴ・イヴ島の秘密、そして彼が小児虐待で服役中であることが語られるので、常に不気味な雰囲気が漂います。
主人公の回想によって話が進む点や、名状しがたい正体不明の恐怖感は、やはりラヴクラフトの影響が・・・