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切り抜いて、重ねて折って… 美しく進化する立体切り絵

暑さ寒さも彼岸まで、と言いますが、今年の夏は暑さと寒さの差が激しかったように感じます。
秋分を過ぎ、秋の夜長に立体切り絵はいかがでしょうか?

立体切り絵とは…切り絵をした紙を折ったり重ねたりすることで、立体的に仕上がるペーパーアートです。
切り絵と折り紙の楽しさを一緒に味わうことができるのです!

そんな立体切り絵を初めての人にも楽しんでもらえる1冊を、お手伝いさせていただきました!
なんとこちら河出書房新社さんの立体切り絵シリーズの2冊目となります。
濱 直史の美しい立体切り絵』(濱 直史著/河出書房新社刊)
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1冊目と対になった表紙デザインなので、ぜひ2冊並べてみて頂きたいです。

1冊目発行の際も、ウエイドがお手伝いさせていただきました!
(以前当ブログでも紹介させていただいております)
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巻頭の作品紹介ページは、眺めているだけでその繊細さに目を奪われます。
そして実際に立体切り絵を作って楽しめるように、巻末には図案が印刷された色紙がついています。

切り絵の切り抜き方、折り方のレクチャーが掲載されているので、カッターやピンセットなどの道具を揃えればすぐ始めることができます!
今回の作品は1冊目より使用している色数が増え、より鮮やかでカラフルな作品が多くなっています。

前回は表裏の色の違いでしたが、今回は表面となる部分に3〜4色使い、見た目も華やかで、一層楽しめる作品となっています。
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今回ウエイドでは、図案データの調整とDTPをお手伝いしました。
先生にいただいたデータを調整していくのですが、「この部分は細すぎて切れてしまうのでは?」「こちらはもう少しかたまった部分を作ったほうが切り抜きやすいのでは?」など、実際につくる人の目線にたち、先生にご相談しながら作業を進めました。

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図案自体も、前回よりも使いやすい仕様に、色々な工夫が加えられています!

まず、前回は裏面にもあった折り線などの目安の破線をなくし、必要な折り線は表面だけに集約されています。
このおかげで表面だけコピーしても、ちゃんと制作できるのです。
一度で切り絵をきれいに仕上げるのはなかなか大変ですよね…。何度でも練習できる仕様になっているのです。
そして、表面の折り線は、作品ごとに、紙の色に合う色の実線を使用し、より作りやすく、仕上がりも綺麗にまとまるようになっています。

ちなみに今回は、データだけでなく先生ご自身が切り抜いた切り絵・折った折り紙をお借りして、実物を見て細かいところを確認しながらの作業でした。その緻密さを目の当たりにして感激するのと同時に、とても繊細な作品ですので、大変緊張するものだったそうです。

先生は一日に3作品ほどお作りになるそうですが、自分だと1作品3日はかかりそうです…。
でも、仕上がったときの達成感と感動はより強く感じられるだろうなあと思います!
1冊目、2冊目どちらも素晴らしく、作りがいのある作品ばかりですので、是非、立体切り絵に挑戦してみてくださいね!

つくってあそべる ウエイドブログ!(『ローズウィンドウ/中山 真季(著)』『濱直史の立体切り/絵濱 直史 (著)』/河出書房新社)

突然ですが、今回のブログは久々にクラフト回です。
「つくってあそぼ」的な回にしたいと思います!

では早速、今回の業務実績で紹介したい本は
ローズウィンドウ:色にときめく紙のステンドグラス中山 真季(著)』と『濱直史の立体切り絵/濱 直史 (著)』です。
どちらも切り絵で作る魅力的な立体作品を多数収録していています。
どちらも河出書房新社より発売中です。

ウエイドではパターン見本の作製とDTPを担当いたしました。

何を隠そう、付録として作品の材料も付いているので、これは作らないわけにはいかないのです。

まずはローズウィンドウ。
聞き慣れない方もいるかもしれませんが、もとはもともと教会の美しく飾った円形のステンドグラス「薔薇窓」をさす言葉で、今回作るのはそれを紙細工で表現した作品になります。
光の色彩を楽しむ作品ですね。
『ローズウィンドウ/中山 真季(著)/河出書房新社』表紙と付録

それでは僭越ながら制作過程をば…!

●まず紙に枠の線を引いて切ります。
『ローズウィンドウ/中山 真季(著)/河出書房新社』枠に合わせカット
ここはカンタンですね。(のりしろは忘れずに…)

●次は紙を作品に合わせて折ります。
『ローズウィンドウ/中山 真季(著)/河出書房新社』折る
今回は16等分です。

●パターンに合わせてトレースです。
『ローズウィンドウ/中山 真季(著)/河出書房新社』型紙『ローズウィンドウ/中山 真季(著)/河出書房新社』型紙を写す
この型紙は先生の手書きデータをスキャンしてイラストレーターで作製した枠にはめ込んでいます。
なんだ、ただ貼付けただけか…
と思うことなかれ。デジタルトレースしなかったのにはちゃんとした理由があるのです。
詳しくは完成写真の後で!

●切ります。
『ローズウィンドウ/中山 真季(著)/河出書房新社』切る『ローズウィンドウ/中山 真季(著)/河出書房新社』開く
そして開きます。
今回は難易度A(初級編)なのでそれほど細かくないですが、高難度の作品に挑むには鋭いカッターがあると良いと思います。

●最後は重ねて枠に張ります。
『ローズウィンドウ/中山 真季(著)/河出書房新社』貼る
デキタ!! うわっ、すごいやワクワクさ~ん☆

『ローズウィンドウ/中山 真季(著)/河出書房新社』完成!

ぷちステンドグラスです。どことなく厳かな雰囲気がただよっているじゃありませんか。
作ってよかったですよ。
そして、繊細な重なりやズレが色彩の変化となり、作品に深みを出しているのがお判り頂けるでしょうか。
デジタルトレースの過程で、気を利かせたつもりで、「ピッタリ重なるようにしておきました!」とやってしまうと、この重なりを計算して描かれた先生の設計が台無しになってしまいかねないのです。
そこで先生の原画を最大限活かしつつ、外形は正確に、色も鮮やかにと工夫の結果、今回の作業行程が決まったのです。
原画を正確に枠内に貼り付けるためにも、手順を工夫しております。

今度は立体切り絵です。
切り絵に折り紙の要素をプラス。
平面の切り絵にはない存在感と、繊細な切り絵がマッチして新しい魅力がありますね。
繊細な切り絵アートは近年静かなブームとなっているようです。

こちらは社内で作りたい人が続出、かっさらわれてしまったので作り方は割愛、…無念。
『濱直史の立体切り絵/濱 直史 (著)/河出書房新社』表紙

この本の特徴は、24枚もの色付き型紙がとじ込まれていて、ページを切り取ればそのまま立体切り絵を作れることです。
表裏が矛盾なく、美しく仕上がるように、何度も修正を加えた型紙たちです。
表裏の色の違いや、折り線の入れ方にも工夫がこらされていて、切り終わって、折って立体に仕上がっていく時には何ともいえない感動が味わえます。

スタッフが作った完成品(入門編)はこんな感じです。
『濱直史の立体切り絵/濱 直史 (著)/河出書房新社』作例
かわいらしいですねぇ~
表紙のツルの高級感とはまた違った魅力です。
こちらも色々なレベルがあるので入門編から上級者向けまで長く楽しめそうですよ。

つくってあそぼ」が終了して久しいですが、幼少期に培われたワクワクさんマインドはまだ失われていないはず。
せっかく春ですし、何か新しい趣味を模索中という方、どちらもオススメです!

ちなみに僕は細かい作業が出来るようにチューンナップされたゴロリの指先が好きです。

ひろがる切り絵の世界

みなさんこんにちは。
今回は明日から開催される展示会のお知らせです。

長年のお付き合いもあり、弊社発行フリーペーパー『茶柱探検隊』にて、
切り絵の連載「切り出される絵世界」をされている茶々さんこと、
大居肇さんがなんと初の個展を開かれるそうです!

みなさんは切り絵ときくと、どんなものを思い浮かべるでしょうか?
黒い紙をベースに、下絵に沿って切り抜いていく手法が通例かと思います。
今回ご紹介するのは、ちょっと違った方法で仕上げていく切り絵です。

大居さんが切り絵を始めたのは1本の万年筆がきっかけだったそうです。
おじいさま、お父様と愛用されてきた万年筆を使い美文字練習帳の行書をなぞりながら、
ふと目にした切り絵の本を思い出し、
「書いた線を切っていくのもおもしろいのでは?」と。
万年筆の太さが切り絵にもちょうど良い細さということもあり、
「桜」をモチーフにした初の作品に挑戦!
さらに、完成した切り絵を下絵にスキャン、背景をPhotoshopで着彩し、
切り絵とデジタルを合わせることにより、今までにない作品となっています。
大居肇さんの切り絵作品「SAKURA」

平面的なものが多い切り絵ですが、
立体切り絵という、趣向を凝らした作品もあります。
大居肇さんの切り絵作品「折り鶴」
一度、折った鶴に切り抜く下絵をかきこんでから、
元の紙の状態に戻し、線画、切り絵をほどこした後、
また丁寧に鶴を折っていきます。
平面の作品もとても緻密で繊細な切り絵ですが、
それが立体的なものになるというのは本当に未知の世界ですね…!

これらは誌面にて掲載された作品の一部となっております。
今回は切り絵の背景を一新した約20点の作品を展示予定です!

大居肇さんの切り絵&Design展 案内
「切り絵&Design展」
●開催期間●
2016年2月11日(木・祝)〜15日(月)

●開催場所●
せいせき 京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンターAB館
5階連絡ブリッジ(ブリッジギャラリー)

●アクセス●
京王線聖蹟桜ヶ丘駅より直結。
改札を出てショッピングセンター内5階のA館とB館を結ぶ連絡ブリッジ

誌面上で作品を拝見していますが、実はまだ実物を拝見したことがなく、
この機会にぜひ間近で拝見したいと思います。
みなさんも是非足をお運びください!